国際学会で英語でプレゼンテーションする際の質疑応答のポイント
国際学会などで英語でプレゼンテーションをする機会があるという医師や研究者の方は多いと思いますが、その際に一番不安なのは質疑応答ではないでしょうか?
「質問が聞き取れなかったらどうしよう」
「聞き取れたとしても英語で回答する自信がない」
今回はそのような不安をお持ちの方に向けて、国際学会などでのプレゼンテーション後の英語の質疑応答(Q&A)に対応するための準備や便利なフレーズをご紹介します。
英語のプレゼン後の質疑応答が難しい理由
医学関連などの国際学会などで英語でプレゼンテーションをすることになった場合、ほとんどの方は事前に英文で原稿を用意し、何度も練習を重ねると思います。
発表の内容は事前に決まっているため、原稿を用意して練習することができるのに対して、質疑応答はその場に行くまでどんな質問をされるかわからないため原稿を用意することができません。
しかも、その場で即答することが求められるため、質問内容を正確に聞き取れる英語のヒアリング能力や、すぐに答えられるスピーキング能力も必要とされます。
そのため、よっぽど英語が得意という方ではないかぎり、英語のプレゼンの質疑応答は難しいと感じているようです。
質疑応答を英語でこなすための準備
英語のプレゼンと同様に質疑応答も事前にある程度の準備をすることは可能です。
質疑応答の不安を解消するためにも、想定される質問をあらかじめ考えて、それに対する回答を想定問答集として英語で準備しておくとよいでしょう。
一般的に医学関連学会などでよく聞かれる質問としては、既存研究との違い、研究の意義、将来的にどのように発展させたいかなどがあるようです。
想定問答集を作る際には、同僚や先輩などに実際にプレゼンを聞いてもらったり、スライドを見せながら日本語で内容を説明し、疑問に思ったことやどんなことを質問したいか聞いてみることをおすすめします。
想定問答集の回答に合わせた補足スライドも作っておくと、いざという時、説明がしやすいかもしれません。
また、発表の前に座長(チェアマン)に挨拶し、「英語での質疑応答に自信がないので、質問が聞き取れなかった時は助けていただけないでしょうか」と予めお願いしておくと安心です。
国際学会などで質疑応答する際に一番重要なこと
英語の質疑応答で一番重要なことは、どんな場合も余裕のある態度で落ち着いて対処することです。
国際学会などでの英語のプレゼンでは、無言になって立往生してしまうことは一番良くないので避けましょう。
質疑応答では全ての質問に対してその場で正しく即答しなければいけないと思っている方も多いかもしれませんが、全ての質問に対して完璧に答える必要はありません。
医学などの学会では、間違えた答えをしてしまうことの方が問題です。
学会発表などの経験が豊富で質疑応答が得意な人は、難しい質問や答えにくい質問を交わすのも上手です。
無言になるのを避けるためにも、質問がわからなかったり難しい質問を受けた場合に使える英会話フレーズを暗記しておくことをおすすめします。
英語の質疑応答に対応するための便利なフレーズ
質問が聞き取れない場合の英会話フレーズ
質疑応答の第一歩として、質問を正しく理解することが必要です。
ですが、英語のヒアリングが苦手な方は正しく聞き取るだけでも至難の業ですよね。
まずは、質問が聞き取れなかった場合の基本的な英会話フレーズを覚えましょう。
- 早すぎて聞き取れなかった場合
Could you repeat the question more slowly?
(もう一度ゆっくり質問を繰り返していただけませんか?) - 質問者の声が小さくて聞こえなかった場合
I’m sorry, I didn’t catch your question. Could you speak a little louder?
(申し訳ございませんが質問が聞き取れませんでした。もう少し大きな声でお願いできませんか?) - 質問に自分が知らない英単語が含まれていた場合
Could you rephrase that more simply?
(もう少し簡単な表現でお願いできませんか?) - 最後(最初)の部分が聞き取れなかった場合
Could you repeat the last(first) part of your question?
(最後(最初)の部分をもう一度お願いできませんか?)
このようなフレーズでもう一度質問を繰り返してもらったのに、まだ理解できないという場合もあると思います。
もう少しで聞き取れそうな場合は、以下のようなフレーズでもう一度質問を促してもよいでしょう。
I am afraid I didnʼt quite catch what youʼre asking.
(恐れ入りますが質問が聞き取れませんでした。)
ただし、医学などの学会発表での質疑応答の時間は限られています。
全く理解できなかった場合は、以下のように回答したほうがいいかもしれません。
Sorry, I’m having trouble understanding your question. Could we discuss it later?
(申し訳ございませんが質問がなかなか理解できません。この後お話させていただけませんか?)
相手の返答がOKだった場合は、後ほど英語が得意な方に通訳をお願いして直接話をさせてもらうことをおすすめします。
通訳が見つからなかった場合は、質問内容を紙に書いてもらい、相手の連絡先を聞いて後日メールで回答するという方法もあります。
質問を上手に交わすための英語のフレーズ
質問の意味が理解できても、質問の内容自体が難しかったり、想定外の内容で答えられないというケースもあると思います。
質疑応答の時、ネイティブが「Good question!」と言って、ニヤッとするのを見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は、「That’s a good question!」、「Good question!」というフレーズは「いい質問ですね!」という直訳どおりの意味で使われるよりも、難しい質問やちょっと意地悪な質問を受けた時や痛いところを突かれた時などに「なかなか鋭い質問ですね!」という意味で使われる場合が多いのです。
ですので、難しい質問を受けた場合は、まずは落ち着いて、「That’s a good question!」と言ってみましょう。
その後に続くフレーズとして、すぐには回答できない場合は以下のようなフレーズが便利です。
- The point must be further studied.
(その点についてはさらなる研究が必要です。) - I haven’t studied that in detail.
(それについては詳しく調べていませんでした。) - I haven’t considered that point yet.
(その点については考えたことがありませんでした。)
今は答えられないけど後で説明できそうだと思った場合は以下のように回答できれば、質問者に対して好印象を与えられるのではないでしょうか。
I’m sorry but it’s difficult for me to answer your question in English now. Could we discuss it later?
(申し訳ございませんが、その質問に今英語で答えるのは難しいです。この後お話させていただけますか?)
また、手元にデータを持ち合わせていない場合は以下のような回答でもいいかもしれません。
Unfortunately, I donʼt have the information I need to answer that right now, but if you give me your contact information later, Iʼd be happy to send it to you.
(残念ながら、その質問に答えるために必要なデータを持ち合わせていませんが、もし連絡先を教えていただけるようでしたら後ほど回答させていただきたいと思います。)
回答できる質問だった場合は?
質問が問題なく聞き取れて回答できる内容だった場合、回答する前に自分が質問の意味を正しく理解しているか確認し、回答した後には相手の質問に満足に回答できているか確認することが大切です。
まずは以下のようなフレーズで質問の内容を正しく理解できているか確認しましょう。
- If I understand correctly, your question is about~
(私の理解が正しければ、あなたの質問は~についてですか?) - Are you asking about ~
(~についての質問ですか?)
質問の内容を正しく理解できているか確認できた場合は回答し、最後にこのようなフレーズで相手の質問に満足に回答できたかを確認します。
Does that answer your question?
(質問の答えになっていますか?)
英語でプレゼンテーションする際の質疑応答のポイントまとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、医師や研究者の方が国際学会などでの英語のプレゼンテーションの質疑応答に対応するための準備や便利な英会話フレーズをご紹介しました。
一番大切なポイントは英語が聞き取れなかったり、難しい質問を受けたりしても慌てずに落ち着いて対処することです。
今回ご紹介したフレーズは、落ち着いて対応するために便利なので、繰り返し声に出して練習しておきましょう。
また、質疑応答で完璧な回答をしようとすると余計に緊張してしまいます。
想定問答集などの事前準備も大切ですが、一番大切なのは「答えられなくても大丈夫」と気持ちを楽に持つことかもしれません。
参考URL
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