日米の医師が共同制作!「医療スタッフのための英会話ハンドブック」
最近は、在留外国人や日本を訪れる外国人旅行者の増加に伴い、病院を訪れる外国人も増えています。
しかし、英語がペラペラな医師や医療スタッフは決して多くはありません。
今回は「外国人の患者さまを診察するときに必要最低限のコミュニケーションがとれるようになりたい」という医師や医療スタッフの方におすすめの本「医療スタッフのための英会話ハンドブック」をご紹介します。
「医療スタッフのための英会話ハンドブック」とは?
日米の医師が共同で制作した医師と患者の英会話本
日米の医師が共同で制作した「医療スタッフのための英会話ハンドブック」(ルーサー・リンク (著)、カート・リンク (著)、村瀬 忠 (著)、研究社)は、医師と患者の対話をまとめた本です。
2007年6月に初版され、2015年11月には医療の進歩に合わせた細部の見直しと共に「下痢」と「頭痛」の章が加筆された改訂版が発行されています。
医療現場で医師が外国人の患者を診察する際に、そのまま使える実用的で簡潔な表現と、見やすい和英・見開き対向のレイアウトが特徴です。
巻末付録として
- コピーしてそのまま使える英文の「問診票」
- とっさの時に便利な「医療関連用語小辞典」(和・英)
- あると便利な日米の「単位換算表」
が付いています。
「医療スタッフのための英会話ハンドブック」の構成は?
「医療スタッフのための英会話ハンドブック」の構成は以下のとおりです。
- 基本的な共通の形式
- システムレビュー
- 検査
- 身体所見
- 検査室にて
- 処置
- 腹痛
- 下痢
- 発熱
- 頭痛
- 神経障害
前半では、医師が患者を診察する際に必要な基本的な英会話の表現がまとめられています。
後半は、よくある症状別に、医師と患者の典型的な会話例を学べるようになっています。
疾患の種類が少ないので、各診療科別に頻繁に使用される英会話を学びたい方には、こちらの方がよいかもしれません。
医師が外国人患者との英会話を学べる本「正しく診断するための診療英会話」
「医療スタッフのための英会話ハンドブック」のおすすめポイント
外国人患者とのコミュニケーションで大切なポイントが押さえられている
この本の「はじめに」の章では、有効な医療行為を行うためには医師と患者が良好な信頼関係を築く必要があるという考えから、外国人患者とのコミュニケーションを図る上で注意するべき大切なポイントについて述べられています。
どの社会でも医師は権威のある存在であるが、必ずしも「絶対的存在」ではない。しばしば絶対君主のようにふるまう日本人医師を見かけることがあるが、どんな患者でも病気について十分な説明を受け、質問する権利があるのは当然のことである。これはインフォームド・コンセント(告知に基づく同意)の考え方に結びつくものである。コミュニケーションの問題が起こりうる外国人患者とでは、このことを特に気をつけなければならない。
引用元:「医療スタッフのための英会話ハンドブック」
日本では医師不足で医者が忙しいせいもありますが、検査や治療について十分な説明が行われないことも多いのではないでしょうか?
私自身、以前流産してしまいショックで気が動転していた時に、医師から「手術をします」と言われて、「何のための手術ですか?どうして必要なんですか?」と質問したところ、面倒くさそうに「簡単な手術だから、心配ないから」とだけ言われたことがあります。
医師にとっては日常的に行っている「簡単な手術」かもしれませんが、患者である私にとっては初めて経験する麻酔を伴う手術だということもあり、手術の目的や必要性について十分な説明が欲しかったです。
日本では医師に大人しく従う患者が多いようですが、外国人は説明を求める方が多いと言われています。
この本は単なる英会話本ではなく、日本人医師が外国人の患者と良好な信頼関係を築くためのポイントを押さえている点はすばらしいと思います。
検査の目的を説明する表現
外国人の患者に対して、十分な説明を行うべきという考え方から、検査をする時の英会話フレーズとしても「検査をしましょう」だけではなく、これから行う検査の目的を説明する表現も紹介されています。
Let’s do an electrocardiogram (echocardiogram).
心電図(心エコー)の検査をしましょう。
It will show us how well your heart is working.
この検査では心臓が正常に働いているかどうかを調べます。
Let’ do an ultra-violet skin test.
顕微鏡を使った皮膚の検査をしましょう。
It will show us more exactly what your skin lesions are like.
この検査では皮膚の病気の原因が微生物によるものかどうかを調べます。
引用元:「医療スタッフのための英会話ハンドブック」
検査だけではなく、これから行う治療の説明、処方する薬の成分や副作用についての説明もできるのが理想的かもしれません。
英語で説明するのは難しいという方は、予め、英文で治療や薬の説明の資料を用意しておくのもおすすめです。
「医療スタッフのための英会話ハンドブック」まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は日米の医師が共同制作した「医療スタッフのための英会話ハンドブック」という本をご紹介しました。
各診療科別の英会話フレーズが少ないのが残念ですが、外国人の患者さまとコミュニケーションをとる上で大切なポイントが押さえられているという点では非常に良い本だと思います。
外国人の患者さまと良好な信頼関係を築くために英会話を習得したいという方はぜひチェックしてみてください。
また、医師が外国人患者を正しく診察するために必要な英会話の勉強法として
- 診察に必要なフレーズを覚える
- 患者が症状を訴える時に使う表現を理解する
- 外国人患者と英語で話すための実践力を養う
の3つのステップについて、こちらの記事にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。