医師におすすめの英会話本「やさしい英語で外来診療〜聞きもらしのない問診のコツ」

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「外国人の患者が来院すると、正直戸惑ってしまう」

「英語力が不足していて正しい診察ができるか不安だ」

そのような悩みをお持ちの医師の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、そのような医師の方がシンプルな英語で外国人患者を診察するための便利な英会話フレーズやコツがまとめられた「やさしい英語で外来診療〜聞きもらしのない問診のコツ」という本をご紹介します。

「やさしい英語で外来診療〜聞きもらしのない問診のコツ」とは?

実用性の高い医師と患者の英会話が満載

2012年09月に出版された「やさしい英語で外来診療〜聞きもらしのない問診のコツ」(安藤 克利 (著)、 大山 優 (監修)、 Jason F. Hardy (その他)、遠藤 玲奈 (その他)、羊土社)は、医師が外国人の患者を診察するために必要な英会話のフレーズをまとめた本です。

外国人が外来に来ると戸惑ってしまうという医師の方向けに、シンプルだけど正確に伝わる診療のための英会話や正しく聞き取るためのコツなどが書かれています。

著者の安藤 克利氏は、初期研修医時代より米国留学に興味を抱き、USMLE(米国医師免許試験)の勉強を開始し、2年目、3年目にStep1およびStep2 CKに合格するも実地試験であるStep2 CSは不合格となり、その後、5年目に再度受験して合格し、ECFMG certificateを取得したという経験の持ち主です。

USMLEのStep2 CSは、英語で模擬患者役から既往歴を聞いたり、診察を行ったりするという実践的な試験です。

相手は患者なので、医学的な専門用語ではなく、わかりやすい一般用語を使ったり、患者が安心して診察を受けられる配慮をしたりすることも求められます。

まさに、日本人医師が外国人の患者を診察する際に求められる英会話能力を試される試験なのです。

「やさしい英語で外来診療〜聞きもらしのない問診のコツ」には、このUSMLEのStep2 CSに2回も不合格になった経験を持つ著者ならではの患者と意思疎通を図るためのシンプルな英会話フレーズやコツが盛り込まれています。

「やさしい英語で外来診療〜聞きもらしのない問診のコツ」の構成は?

「やさしい英語で外来診療〜聞きもらしのない問診のコツ」の構成は以下のとおりです。

  • PART1 診察のキホン
    診察の進め方
    問診
    診察の進め方
  • PART2 シーンにあわせた診察
    疼痛
    全身症状
    循環器・呼吸器症
    消化器症状
    泌尿器症状
    神経筋症状
    精神・皮膚症状ほか
    小児科診察
    産婦人科診察

PART1の病院概要には、受診の手順 の説明から院内順路案内なども含まれ、実際に外国人が来院した時に必要な会話を順序立てて学べるようになっています。

PART 2では、各診療科別に頻繁に使用される便利な英会話フレーズがまとめられています。

疾患別に医師と患者の典型的な会話例なども紹介されていて、医療現場で役立つ実用的な内容となっています。

「やさしい英語で外来診療〜聞きもらしのない問診のコツ」のおすすめポイント

イラストが豊富でわかりやすい

やさしい英語で外来診療-図解-画像

出典:「やさしい英語で外来診療〜聞きもらしのない問診のコツ」

「やさしい英語で外来診療〜聞きもらしのない問診のコツ」では、イラストがたくさん使われていて、とてもわかりやすく丁寧に説明されています。

上の写真は急性虫垂炎に関する触診を説明したイラストです。

左下腹部を圧迫すると、腸管内のガスが回盲部へ移動することで右下腹部に疼痛が生じる所見である(図5A)

I need to press around here. Please tell me it hurts.

この辺り(左下腹部)を押すので、痛かったらおっしゃって下さい。

引用元:「正しく診断するための 医師の診療英会話」

という解説があり、触診のポイントと触診する際に患者に声掛けをする英会話のフレーズが合わせて紹介されているので、とても実用的だと思います。

典型的な患者の訴えを元に正確な診断をするためのポイントも

やさしい英語で外来診療-医師におすすめの英会話例-画像

出典:「やさしい英語で外来診療〜聞きもらしのない問診のコツ」

また、患者が症状を訴える時によく使うフレーズを紹介しながら、正しい診断を行うためのポイントについても解説されています。

上の写真は、回転性めまい(vertigo)か非回転性めまい(dizziness)かの鑑別についての解説です。

どちらのケースでも患者は「I’m dizzy」(めまいがします)と表現することが多いため、識別が必要となり、その際に使える英会話フレーズとして以下のようなものがあるそうです。

Did you feel the room spinning around you, or did you feel lightheaded

部屋がぐるぐる回っている感じでしたか?それとも、ふらふらするような感じでしたか?

Did you pass out?

(失神しましたか?)

引用元:「やさしい英語で外来診療〜聞きもらしのない問診のコツ」

このように正しい診断をするための実践的な英会話フレーズが、疾患別に紹介されています。

全ての疾患について、網羅されているわけではありませんが、この本を参考にして、自分の診療科で日本人の患者がよく訴える症状や正しい診断を導くための質問を英訳して準備しておくと、外国人の患者を診察するときに役立つのではないでしょうか?

「やさしい英語で外来診療〜聞きもらしのない問診のコツ」にはCDがついていて、ナチュラルスピードの英語が録音されています。

自分の診療科で使用する表現は何度も繰り返し聞いて、医師が発する会話の部分は実際の場面を想像しながら何度も声に出して練習すると実際に外国人の患者を診察する場面でも役立つと思います。

医師が診察時に使う英会話を学べる「やさしい英語で外来診療〜聞きもらしのない問診のコツ」まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今回は、医師が外国人の患者さまを診察する際に使用する実践的な英会話が学べる本として、「やさしい英語で外来診療〜聞きもらしのない問診のコツ」をご紹介しました。

非常に実用的で実際の医療現場で役立つ本だと思います。

外国人の患者さまを診察するための英会話を習得したいという方はぜひチェックしてみてください。

また、医師が外国人患者を正しく診察するために必要な英会話の勉強法として

  1. 診察に必要なフレーズを覚える
  2. 患者が症状を訴える時に使う表現を理解する
  3. 外国人患者と英語で話すための実践力を養う

の3つのステップについて、こちらの記事にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

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